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本当に良い仕事とは?

先日、以前からお付き合いのあるクライアント様から新規サイト立ち上げについてのご相談を受けました。今のサイトの現状から理想のサイトイメージまでお聴きして、自分も色々な観点からのアドバイスと頑張っていいもの作りましょうとお話しました。

それから2週間くらい連絡が無かったので今日聞いてみたところ、上司が何の相談もせず他の業者に丸投げしてしまったとのことでした。クライアント様が業者に電話をかけ、サイトのイメージを伝えたものの、「すでにお任せされているので変更できない」と突き放されてしまったそうです。上司にも業者にも腹が立ったと悔しそうでした。

ある程度まで出来上がったラフを見せていただきました。見た目はキレイな感じでコーディングもしっかりしていていましたが、それを見て私もクライアントも感じた共通のことがありました。

全然気持ちがこもってないんです。

写真をただ並べただけでキャッチフレーズも無し、さっぱりして綺麗なレイアウトに見えますが何も訴えかけてこない。これを見たユーザが本当にここでご飯を食べたいと思うのか。お風呂に入りたい気持ちになるのか。クライアントが望んでいることはサイトで自分たちの気持ちや提供できるサービスを心から伝え、ユーザにそこの空気を味わってもらえるような体験をサイトで提供し、そこでそのサイトでのみ体験できる稀有で個性ある体験を得たユーザが「ここに行きたい!」「ここで遊んで飯食って風呂入って景色見て寝たい!」と思うようになった時に出てくるニーズやウオンツを、漏らすことなく吸い上げて解決してあげるためのコミュニケーションを取るための、まさにそのための手段にしたいわけで。

徐々に一般的になってきているWEB標準のコーディングを実践していると、いわゆる「コーディングしやすいレイアウト」にしがちです。最適なコーディングを求めるため複雑なレイアウトを避ける傾向があって、それがレイアウトのデザイン自体をつまらないものにさせていることがあると思います。WEB標準のコーディングを取り入れることが悪いんではなくて、それに縛られることによってデザインに定型を作りそこから抜け出せない、もしくはその定型に無理やりレイアウトを合わせようとしてしまうことが問題だと思っています。が、それ以上にレイアウトだけじゃなく頭の中まで定型にはめた考え方しかできないようにはなりたくないぞと思うわけです。そこにはただ単に綺麗にレイアウトすればいいでしょ的な考えではなくて、大事なのは気持ちでしょと思うわけです。自分がクライアントの立場だった時、今作られているサイトで本当に満足できるかを常に考えるべきです。

自分が以前やらせていただいた某ホテルのサイト制作の時は、デザインのラフを作っては手直しを何十回も続けました。何日かけたか思い出せませんが、実際にホテルに行ってホテルの空気や雰囲気を体験したことや、そこで働くたくさんの従業員の人たちを見た時に、「これに俺の真価が問われてる!」と、作業に没頭したことがありました。こういう仕事に限ってこだわりまくるために進みが悪かったりします。他にも必ずいいものにすると決めた時は大抵作業が遅々として進まない時があります。デザインや構成に徹底的に凝って、全くいいものができずにうなだれて激しく落ち込んで半分投げ出したりします。でもなんとかなんとかと踏ん張った末に出したものは評価を得てくれました。

そんなこんなで脱線しましたが、クライアント様から「あなたにやってもらえなかったことがとても残念だ」とお言葉をいただきました。とてもありがたいですが自分も残念です。大事なことを忘れずに仕事に向かいたいと思います。
by neomiki | 2005-10-12 18:55 | 仕事
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